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徳島地方裁判所 昭和26年(行)25号 判決 1952年3月12日

徳島市寺島本町西一丁目四番地

原告

小泉シズヱ

被告

右代表者法務総裁

木村篤太郎

右指定代理人

水地厳

高原喜平

土井照則

右当事者間の昭和二十六年(行)第二五号営業所得並所得税額訂正決定確認請求事件について、昭和二十七年二月二十七日終結した口頭弁論に基いて左の通り判決する。

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は、徳島税務署長が原告の昭和二十三年度営業所得税額を六万円所得税額を一万千九百二円と訂正決定したことを確認するとの判決を求め、その請求原因として、原告は肩書地で青果物商を営み居る者であるが、徳島税務署長に対し昭和二十三年度の営業所得額を八万余円と確定申告した処、同署長はこれが営業所得額を二十四万円同所得税額を八万二千二百四十二円と更正決定を為し続いてこれに対する原告の審査請求により調査を遂げた結果、右所得額を六万円同税額を一万千九百二円と訂正決定したのにもかかわらず、その後前示訂正決定を無視して営業所得額を十二万円同税額を二万八千七百八十五円と決定しこれが金員の徴収を為さんとしているので本訴請求に及んだと述べ、被告の主張に対し、原告が被告主張の訴及控訴を提起し敗訴となり該判決が既に確定していることは認めると述べ、乙号各証は何れもその成立を認めた。

被告指定代理人は主文同旨の判決を求め、答弁として原告主張事実中徳島税務署長が原告の所得額を六万円同税額を一万千九百二円と訂正決定したとの事実は否認するが、その余の事実は認める。仮に原告主張の様な訂正決定がなされたとするも、その後徳島税務署長は原告の営業所得額を十二万円同税額を二万八千七百八十五円と決定通知し居りこれにより当然原告主張の訂正決定は取消されて居るから原告が本訴を提起するも何等その確認の利益は存し無い、因みに原告は右十二万円の所得額決定の取消訴訟を当裁判所え昭和二十五年(行)第五号事件として提起し敗訴となり続いて高松高等裁判所え昭和二十六年(ネ)第四〇号事件として控訴を提起したが同様敗訴となり既に該判決は確定し居ると附演し、立証として乙第一、二号証、同第三号証の一、二を提出した。

理由

原告主張事実中徳島税務署長が原告の昭和二十三年度営業所得額を六万円同税額を一万千九百二円と訂正決定を為したとの事実を除く爾余の事実は何れも当事者間に争なく、原告主張の訂正決定の事実はこれを認むるに足る立証無く却つて成立に争の無い乙第三号証の一、二(昭和二十五年(行)第五号事件の証人河口益清調書)の記載によればかかる訂正決定の無かつたことを認め得べきを以て原告の本訴請求は失当としてこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用して主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 今谷健一 裁判官 小川豪 裁判官 尾鼻輝次)

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